2008年8月21日木曜日

「手紙」と「秘密」


今更ながら、東野圭吾氏の「手紙」と「秘密」を読んでみた。
自分で買ったわけではない。
かみさんが買った本で、「読んでみる?」と言って貸してくれたのだ。
東野圭吾氏と言えば、
最近ではドラマの原作になった「予知夢」と「探偵ガリレオ」が有名だ。
実際、かみさんが「手紙」や「秘密」を読み始めたのは、
僕が買ったガリレオシリーズを読んで東野氏の小説を気に入ったからだった。
ガリレオシリーズ以外は読むつもりはなかったのだけど、
せっかくだから借りて読んでみる事にした。

まず、「手紙」から。
殺人犯の家族の生活を描いたこの小説は、
全篇が重苦しい空気に包まれている。
コミカルな要素などはまったくない。
殺人犯の家族が世間から受ける差別、
それに真摯に立ち向かっていく家族の苦悩、
また、罪を犯した人間の本当の意味での償いとは何なのか?
読めば読むほど悲しみが積み重なっていく。
「差別はあって当然」という台詞は、とても衝撃的だった。
読んでいる途中、なんども腹立たしさを覚えたが、
実際に自分がこの物語に登場する脇役たちの立場だったら。。。と考えると、
きっと同じような言動をしたに違いない。
重苦しい内容ではあるが、
本としてはとても読みやすい本だった。
次の展開がとにかく気になるので、
どんどん読み進めていける。
僕は男二人の兄弟なので、
かなり感情移入しながらこの本を読んだ。
ちなみに、映画の方は僕は観ていない。

次に「秘密」だ。
こちらも映画化されている。
映画はかなり宣伝されていた記憶があるので、
「手紙」よりもメジャーではないだろうか。
こちらも僕は映画を観ていない。
「手紙」とは違い、非常に非科学的な物語だ。
非科学的ではあるが、
心の繋がりの大切さをコミカルに描いている。
そう、基本的にこの物語はラブコメだと僕は思う。
でも、その非科学的な設定と状況が、
この物語を単なるラブコメにすることを許さない。
バックグラウンドには常に悲しみが漂っている。
この物語は、主人公の中年男性の目線から描かれている。
主人公の平介は、この物語がスタートする時点では僕と同年代のはずだ。
だから、本当なら感情を移入して読むことができるはずだと思う。
でも、それができなかった。
なぜなら、物語は直子(藻奈美)主導で進んでいくからだ。
自分の力ではどうすることもできない運命に苦しむ主人公。
読み始めてすぐに、
この物語は主人公にとってのハッピーエンドなど
用意されていないということが何故か予想できた。
そして、エンディングも予想できる範囲で一番自然な形で迎える。
ただ、それは平介と直子以外の周りの人間にとっての自然な形だ。
たぶん自分が平介の立場だったら、
普通に生きていくことはできなくなるだろう。
この本も次の展開がとても気になる本だ。
「手紙」よりも早いペースで読み終えてしまった。
が、何故かとても後味の悪い気分になった。
とても面白い本だったが、
読まない方が良かったかななどと思ったりする。
かみさんにそれを話すと、
「男の人が読むとそう思うのかもね。」
と言われた。
なんだか直子にそう言われているようで、
とても気持ちが悪かった。。。

かみさんは今、「白夜行」と「幻夜」を読んでいる。
「読み終わったら、また貸してあげるよ」
と言われたが。。。
どちらもものすごい厚さだ。
あんなに厚い本、読み終えることができるだろうか。。。

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