2014年11月12日水曜日

犬とのヒールウォーク


犬を飼い始めてから、その理想と現実のギャップに愕然とするもののひとつに『犬の散歩』があります。

子供の頃に見た、夕方の商店街をのんびり並んで歩くおばあちゃんと犬……僕は『犬の散歩』に対して、そんな幻想を抱いていました。
が、実際に犬を飼って散歩を始めてみると……犬はどんどん前進して行くわ、後ろを振り返るわ、上に飛び跳ねるわ、道の端に行って匂いを嗅ごうとするわ、視界に入った動くものすべてに反応して飛びかかろうとするわ……で、他の通行人から見たら、おおよそ『犬の散歩』とは呼べないマンガのようなコミカルな姿を晒すことになりました。
「犬の散歩って、なんて難しいんだろう…」
この時、心底そう思いました。

でも、翌々考えてみると、それは当たり前の事だったのです。
この記事でも少し触れましたが、ヒールウォークを教えられていない犬は、『人の横を人と同じペースで歩くことが良いこと』だなんて、夢にも思っていないのですから。
だから、自分の好きなペースで、自分の行きたい方向に勝手にどんどん歩を進めていくのです。

ウチのエマは、地面のにおいを矢鱈と取りたがる犬で、散歩中に何の指示も出さずに放っておくとストップ&ゴーと地面のにおい嗅ぎを繰り返しながら、勝手にどんどん前に進んでいきます。
正直、ヒールウォークは未だにあまり上手ではありませんが、散歩に支障が出ない程度のヒールウォークはトレーニングを重ねることによってできるようになりました。


ヒールウォークのトレーニングは、パピースクールに通っていた頃に何度も繰り返して行いました。

ヒールウォークのポイントは、『リードを短めに持つ』ことと、『リードを常に少し弛ませた状態にしておく』ことです。

そして、おやつやおもちゃを犬の鼻先に持って行って、それを追わせるようにしながら一歩進んで止まります。
それができたら、犬を褒めてご褒美を与えます。


最初から長い距離を付いて歩かせるのはとても難しいので、まず一歩から始めてください。
地味なトレーニングになります。
小型犬の場合、飼い主さんは大きく腰を屈めないといけなくなるので、体勢的にかなり辛くなります。
でも、そのトレーニングがきれいなヒールウォークへの一歩となるのです。

そして、この練習は、まず家の中や自宅の庭等の敷地内で始めることをお勧めします。
いきなり散歩コースでこの練習を始めても、外にあるたくさんの刺激に犬が反応してしまって、きっと一歩も付いて歩くことができないからです。
おやつやおもちゃを犬に見せても、多分動く人や自転車、他の犬、飛んできた木の葉のほうに向って行ってしまうはずです。
外には犬にとって魅力的な刺激が山のように存在します。
なので、家の中でできるようになったとしても、おやつやおもちゃを犬に見せたとしても、思い通りに付いて歩かせることは難しいのです。

じゃあ、どうやって犬にヒールウォークの形を教えるのかというと…
人間が止まってしまえばいいのです。
それによって、犬も動けなくなります。
「どうすれば前に進めるのか?」ということを、犬に考えさせるのです。
犬が引っ張ることを止めたら、犬を褒めてあげます。
そして、おやつ、おもちゃを使って、犬を自分の左横の位置に戻します。
それができたら、また褒めてご褒美を与えます。
その後、また一歩進みます。
もし犬が引っ張ったりにおい嗅ぎを勝手に始めたら、人は止まって……を、延々と繰り返します。
これのトレーニングによって、『人の横について歩くことは良いことなんだよ』と、犬に教えていくのです。

このトレーニングで注意しなければならないのは、人が止まっている時に犬が前に引っ張ろうとしたり、地面のにおいを嗅ごうとして下を向いたとしても、リードを引いて犬を人のほうに引き戻してはいけないということです。
絶対にリードを引いて犬をコントロールしないという点が重要なポイントとなるのですが、これがとても難しく、言葉や動画で説明のできない部分でもあります。
この部分については、しつけ教室や出張トレーニングでドッグトレーナーの指導の下、練習を重ねてみてください。

犬種や個体の差はありますが、ヒールウォークだけを単独でやらせようとしても、犬の集中が切れてしまうことがあります。
ヒールウォークはどうしても単調になりがちなので、アイコンタクトの要素を入れてみたり、歩くスピードに変化を付ける等、いろいろな工夫が必要になります。
そして、集中が切れやすい犬に対しては、常に声を掛けるようすることが大切です。

それともうひとつ、地面のにおいを取るのが好きな犬については、できるだけ道の端は歩かないようにします。
道の両端は他の犬のおしっこ等、においが溜まりやすい場所になるので、できるだけそこから離れて歩いたほうが、ヒールウォークの精度は上がります。
車両の通行量等、道路事情に気をつけながら、危険の無い程度に道の端から離れて歩くことが失敗を少なくしていきます。

そして、最も大切なのは…


ヒールウォーク後の自由時間です。
しっかりとヒールウォークをさせることは重要ですが、犬の大切な情報元となるにおい嗅ぎの時間も十分に与えてあげることが大切です。
最初は短時間ヒールウォークをさせたら、同程度の短時間の自由時間を与えます。
短い距離をしっかり付いて歩けるようになったら、ヒールウォークしている時間と自由な時間を徐々に延ばしていきます。

現在のエマの散歩は、一日一回約一時間。
そのうち、ヒールウォークをしている時間は、15分間だけです。
それと、公園でオビのトレーニングを5分間。
残りの40分間は、すべてエマの自由時間です。
「自由時間40分で20分間しか指示出してないの? バランスおかしくない?」
そんな事を言われたりもしますが、僕はそれでオッケーだと思っています。

「20分間だけ指示でしっかり動いてくれれば、後は好きにしていいよ」

毎日そんな緩い感じで、僕とエマは散歩を楽しんでいます。
やっぱり散歩は楽しまないと!


犬に引っ張りまくられると、人はイライラとしてきて散歩が苦痛になってきたりするのですが、どうか大らかな気持ちで犬を見守りながら、楽しくヒールウォークのトレーニングをしてみてください。
飼い主さんも犬も、楽しく散歩をしたいという気持ちはきっと同じはずですから。


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