いつもラーメンの記事ばかり載せているので、たまにはうどんの話ということで…
神保町のお茶の水小学校のすぐ近くに、いつもいつも行列を成している店がある。
それが〔丸香〕といううどん屋。
昼間にあの近くを通ったことがある人なら、毎日毎日途切れることのない行列をきっと見たことがあるはず。
僕はこの店の近くにある〔麺処 美空〕というラーメン屋の生姜らーめんが好きでそちらによく行くのだけど、〔美空〕に行く途中、いつも行列ができているこのうどん屋がずっと気になっていた。
ただ、僕は『昼食のために店の外に並ぶなんていう行為はナンセンスだ』と考えるタイプの人間なので、いつも行列を成している〔丸香〕を横目に素通りしていた。
『そこまで並ぶほど美味いのかぁ?』という疑心暗鬼、行列を作る店や有名店に対して過敏に拒絶反応を示す僕の体質等々、いろいろと障害があったので、僕が〔丸香〕ののれんをくぐることは一生ないと思っていた。
でも、いつもあれだけの行列を作っている店が生活圏内にあると気になってしまうのが人の心というもの(笑)
この店の情報をネットで色々と調べてみた。
すると……いつも混んでいるだけあって、とても評価の高いうどん屋さんだということがわかった。
〔関東で一番おいしい讃岐うどん屋〕とか〔わざわざ香川まで行かなくても本場よりうまいうどんがここで食べられる〕とか、とにかく興味を惹かれるような高評価のレビューが多い。
どうやら店主の方は高松の出身で、香川の名店である〔山越うどん〕で修行をしていたらしい。
魅力的な情報はたくさん得られたけど、やっぱりあんなに並んでまで昼を食べる趣味なんて僕にはないから…関係ないな…と思っていた。
ところがある日、遅めの昼食を食べるために午後3時過ぎに〔丸香〕を通りかかったら、〔丸香〕名物の行列がなかった。
外から店の中を覗き込んだら席も空いていたので、
(もしかしたら……これはチャァァァァンス!! 逃すものかぁぁぁぁっ!!)ということで、迷わず〔丸香〕の暖簾をくぐった。
メニューが結構豊富な店なのでちょっと迷ったけど、
『まずはシンプルなうどんを味わおう』
ということで、〔かけうどん(温)〕を注文した。
それと、揚げ物メニューからは、〔ちくわ天〕、〔かしわ天〕、〔赤天〕を注文した。
うどんのつゆはいりこのダシ。
透き通ったつゆはまろやかで上品な味。
やっぱりうどんに関しては、だしもつゆもこれが正解なんだと思う。
ここ数年の間にこの辺りで幅を利かせるようになった某うどんチェーン店のつゆとはもう比べ物にならないくらいうまい。
これのつゆを飲んでしまったら、もうあっちのうどんは食べられなくなる。
そして麺。
〔丸香〕の麺の食感は、
『ああ、うどんのコシってこういうことを言うんだな…』
ということを体感させてくれる。
以前、香川出身の知り合いが、
『こっち(関東)の人たちって、やたらと反発力の高いうどんの麺のことをコシがあるって言いますけど、それってちょっと違うと思うんですよ。一度香川のうどんを食べてもらえばわかってもらえると思うんですけど……』
なんてことを言っていたけれど、〔丸香〕のうどんの麺を食べてそれがどういうことなのかがやっと理解できた。
〔丸香〕の麺は噛んだ時、決して反発しない。
歯の動きに合わせて変形しながら切れていく。
でも、麺が柔らかいわけではなく、しっかりとした弾力がある。
反発しない弾力…これが讃岐うどんの麺なんだな…ということを、この店のうどんを食べて初めて知った。
テーブルの上には白ゴマ、天かす、一味唐辛子が置かれているけど、できればそれらを使うのは最小限に留めたほうがおいしく頂けると僕は思う。
それから天ぷら。
香川では、魚のすり身を油で揚げたものを〔天ぷら〕と呼ぶらしい。
関東で言うところのさつま揚げとほぼ同じものだ。
香川から取り寄せているものなのか、この辺りのスーパーで売っているさつま揚げのようなごちゃごちゃとしたいろんなものが混ざっているよ的な味はしない。
素朴でシンプルな懐かしい味がする。
〔上天〕や〔赤天〕だと素朴すぎて物足りない…と感じる人には、風味にパンチのある〔じゃこ天〕がおすすめ。
そして揚げ物だけど、〔ちくわ天〕と〔かしわ天〕がとにかくうまい。
〔ちくわ天〕はもちもちっとしたちくわの食感がたまらない。
〔ちくわ天〕に使われるちくわは日によって物が変わる。
僕は何も入っていないシンプルなちくわとたこのちくわが好きだ。
〔かしわ天〕は香川の地鶏である讃岐コーチンの天ぷらで、外はサクサク中はジューシーで美味。
これも例のチェーンうどん店の〔かしわ天〕とは比べ物にならないくらい美味い。
この店に来たらうどんと一緒に必ず注文したい一品だ。
僕はうどんも冷たいものはあまり頼まないのだけど、たまーに気が向くと…
この〔山かけうどん〕を注文する。
このうどんは、テーブルに置いてあるダシ醤油をぶっかけてかき混ぜて頂く。
〔山かけうどん〕はつゆが入っていないので、〔かけうどん〕とはまた違ったうどんの食感を楽しむことができる。
わさびの効いた山芋が絡んだ麺がたまらない。
僕は香川には一度も行った事がないけれど、香川でうどんを頂いている気分になれるうどんだと思う。
それと、残念ながら画像がないのだけれど、〔肉うどん〕も絶品。
※うどんに夢中になりすぎて、撮影するのを忘れたらしい(笑)
〔丸香〕の〔肉うどん〕は赤ワインと和三盆のカラメルを加えただしで煮込んだ牛肉とたまねぎが載っている。
うどんに牛肉……というところにちょっと違和感を覚えたけど、思い切って食べてみたらこれがものすごくうまい!
唐辛子よりも胡椒が合ううどんだ。
ああ、こんな記事を書いていたら何だか〔丸香〕のうどんが食べたくなってきた(笑)
これ以上画像を見ているだけっつーのも辛いので、そろそろまとめようかな…
ということで、これから〔丸香〕に行ってみようかな…と考えている方にミニ情報のご提供を…
〔丸香〕はいつも長い行列ができているけれど、客の回転は早い。
店の外に10人くらい並んでいても、10分前後待てば席に着ける。
オーダーも並んでいるときに取ってもらえるので、席に着くとすぐにうどんが出てくる。
なので、思っているよりも行列に並ぶのは苦にならないはず。
ただ、店側も客を早く回転させようという接客をする(注:接客態度が悪いということではないので…その点、くれぐれも誤解のないよう…)ので、落ち着いてゆっくりうどんを味わいたいというお客さんには不向きの店だと思う。
ばーっとうどんを注文してばーっとうどんを食べてばーっと代金を支払ってばーっと帰る。
特に混雑時は、そのくらいのつもりでこの店に入ったほうが面食らわなくて済む。
『行列に並ぶのなんてごめんだ! でも、丸香のうどんは食べたい!』
という人向けに、こんなサービスもある。
これを使えば行列に並ばずに、すぐに〔丸香〕うどんが楽しめる。
が、僕はこれを使ったことはないし、使っている人を見たこともない(笑)
それと、
『昼は混んでいるから、時間ずらして行ってみようかな。』
と考えているあなた、時間をずらすのならば開店直後に行くことをおすすめする。
ラストオーダー間際に行くと、揚げ物や天ぷらがもうなくなってしまっている場合がある。
最悪の場合、うどん玉終了でうどんを食べられずに泣く泣く撤収なんてこともあり得るので要注意。
特に土曜日はラストオーダーが午後2時30分なので注意が必要だ。
最後に…
店主の方が修行された〔山越うどん〕の麺、実はこんなところで買えたりする。
【うどん 丸香 店舗情報】
・住所:東京都千代田区神田小川町3-16-1 ニュー駿河台ビル 1F
・営業時間:〔月~金〕11:00~19:30(L.O.) 〔土〕11:00~14:30(L.O.)
※うどん玉がなくなり次第閉店
・定休日:日曜日・祝日・年末年始