さて、今年最初の出張トレーニングは、何といきなりミニシュナさんです。
しかも2シュナということで、弥が上にもテンションが上がります!
今回トレーニングさせてもらったシュナウザーは、2頭共に過去に大変な経験をしている推定4歳前後のシュナさんです。
その頃の経験及び経験不足を起因とする2頭の行動を変えていきたいということで、2頭を保護した現在の飼い主さんからカウンセリングとトレーニングのご依頼をいただきました。
まずは、Jくん。
最初に生まれ育った場所でまったく社会化の経験をさせてもらえなかったために、犬が苦手。
散歩中に犬と擦れ違う度に、反応して吠えてしまうとのことでした。
実際に外でJくんと歩いてみると、遠くに犬を見つけたところでロックオンが始まり、相手の犬との距離が詰まるごとに興奮が増していき、動きと吠えが激しくなっていくように見えました。
散歩中に他犬に反応してしまう犬のトレーニング方法はいくつかあるのですが、Jくんの場合、おやつに対する集中が高く、相手の犬に視線が移らなければ飼い主さんの指示が入るようでした。
また、ステイしている状態よりも、リズミカルにヒールウォークをしている状態の方が集中が高まるようだったので、「犬が近づいてきたら、Jくんの大好きなおやつを使って集中を取り続けて、止まらずに犬と擦れ違ってください」と飼い主さんにアドバイスをして、練習をしてもらいました。
飼い主さんのご自宅の近所には、「庭に犬が出ているお宅があって、その脇を通るときは大変」ということだったので、実際にその場所に行って、そこでも同じ方法で練習をしてみました。
このようなケースでは、相手の犬の行動をコントロールをすることはできないので、相手の反応があまりにも激しい場合はその道は避けることを飼い主さんに勧めようと思っていました。
実際にその場所で犬たちの行動と反応を確認してみると、Jくんもそのお宅の庭にいる2頭の犬も視線さえ合わなければ吠えないということが確認できたので、そこでも犬との擦れ違い時と同じように、おやつを使ってJくんの集中を取ってそのまま歩いて通り過ぎるという練習を飼い主さんにしてもらいました。
犬同士の視線が絡み合って犬同士の集中が高まると、興奮して争いが起きやすくなります。
いつでもどんな場所でも、飼い主さんが愛犬の集中を取る事ができるようにしておくことによって、他の犬への吠えや飛び掛りを防ぐことができるようになります。
常に犬が飼い主を気に掛けることを習慣化することによって多くのトラブルや危険から愛犬を守る事ができるので、いつでも犬の集中を取ることができる術を身につけておくといざというときに役立ちます。
そして、もう一頭のFくん。
Fくんも以前に生活していた環境での経験に依って、人の手と男性(特に中高年)が苦手になってしまったそうです。
散歩中に前方から歩いてくる男性が手を大きく動かしていたりすると激しく反応してしまい、空噛のような行動をしてしまうとのこと。
また、他の犬との挨拶の後、相手の犬の鼻をかぷっと噛んでしまうこともあるそうです。
実際に外で確認させてもらったのですが、Fくんの近くを鍵を鳴らしながら腕を振って歩く男性が通り過ぎたとき、Fくんがその男性に反応して向っていこうとするような素振りを見せました。
「食べ物よりも褒めてもらうことの方が好きなようで」というお話を飼い主さんから聞いていたのですが、持参したレバーケーキを使ってみたところ、しっかりと食べ物にも集中してくれました。
レバーケーキは匂いが強いおやつなので、屋外でも効き目十分に機能してくれます。
Fくんの場合は犬ではなく男性が刺激となりますが、散歩中に気になるタイプの人と出会ってしまった場合には、Jくんと同様におやつを使って集中を取るようにと飼い主さんにアドバイスさせてもらいました。
また、Fくんにも少し吠える行動があったのですが、それの吠えはJくんの行動に誘発されて起きるもののようでした。
Jくんが吠えなければFくんも吠えることはないので、吠えについては「Jくんを吠えさせない」ことに全力を傾けてもらうように飼い主さんにお伝えしました。
そしてもう一つ、Fくんのハンドシャイについても確認をしてみました。
Fくんの顔の横や下半身に近い部分で手を動かすと、その方向に頭を素早く動かす動作がありました。
ただ、噛み付く素振りはなかったので、レバーケーキを食べさせながら身体をゆっくり手の甲で撫でみました。
Fくんも最初は触られている部分を気にしていましたが、徐々に触られることにも慣れていってくれたようでした。
過去の経験からハンドシャイになってしまったFくんですが、弱い刺激(ゆっくりとした手の動き)であればおやつを食べながら耐えてくれます。
無理のないレベルの刺激から練習を積み重ねて、「人の手は怖くはない」ということを教えていってあげれば、きっと人の手の優しさを感じてくれるはずです。
ただ、他の犬との挨拶で鼻を噛んでしまう行動については、相手が犬ということもあって刺激の調節ができません。
日本では、散歩中に犬同士を挨拶させたいと考える飼い主さんがいますが、無理に犬同士を挨拶させる必要はないので、その点を飼い主さんにお話ししてご理解していただきました。
飼い主さんと犬との間でしっかりとしたコミュニケーションが気付けていれば、それ以上は必要ありません。
犬が飼い主さんを一番だと思うこと、いつも犬が飼い主さんを見ていてくれることが何よりも大切なことです。
ミニチュア・シュナウザーはネズミを捕るために作られた犬なので、素早く動くものに対して過敏に反応します。
何も刺激がなければのんびりとした散歩が楽しめる犬なのですが、目の前に猫が飛び出してきたり、曲がり角で出会い頭に他の犬と鉢合わせをしてしまった瞬間にスイッチが入ります。
刺激を見つけるとロックオンなどせずに、凄まじい瞬発力で目標に向って飛び掛ります。
それ故、「シュナウザーは扱いづらい。吠えてうるさいし面倒。」という人も少なくありません。
確かにそうかも…ですが、シュナウザーは元々そういう犬なのです。
ターゲットに対して過敏に反応するように作られた犬なので、そういう行動をします。
刺激を見つけても反応しないしないシュナウザーは扱いやすいかもしれませんが、使役犬という観点からするとシュナウザー失格なのかもしれません。
でも、ミニシュナの遺伝子をバッチリ引き継いでしまった激しい子を迎えてしまっても、トレーニングによっていくらでもコントロールすることはできるのです。
このブログとエマのブログのおかげで、たくさんのミニシュナとその飼い主さんに出会うことができました。
今回トレーニングをさせてもらったJくんとFくんも、とても魅力的なシュナウザーでした。
これからもたくさんのシュナたちと一緒にトレーニングをしたい…そう思っています。
話が逸れますが、シュナウザーの飼い主さん、多頭飼いの方が多いですね。
なぜだろう…
ウチにももう一頭シュナを迎えたいな…と、シュナ多頭飼いのお宅に伺うと、いつもそんな事を考えてしまいます。
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